プチ・ラパンはどうして『タルト専門店』になったのか

タルト専門店誕生秘話

ひとりっ子だった私は高校生の頃、友人を部屋に招くことが大好きでした。ただおしゃべりしているだけでも楽しかったのですが、もっと楽しく過ごしてもらうためにお料理をふるまうことを考えました。

近くの書店で見つけたのは「フランス料理の本」(主婦の友社)でした。やっぱりおもてないしならフランス料理でしょ！と思い、作れるかどうかもわからずに購入しました。

これが運命の出会いとなります。この本の監修者はフランス料理研究家としてフランス政府からも認められていた当時の辻調理師専門学校校長の辻静雄さんでした。この本はお料理のレシピよりもたくさんフランスの文化について書かれていました。

当時、「日本人は質素、お茶漬けが一番うまい」のような価値観が広がっている中、一品の料理にかけるフランス人のこだわりの深さにとても感動し、美味しいものへの情熱に共感しました。

その後、中退していしまいましたが大学ではフランス語・フランス文学を学び、横浜・大阪・高槻・京都でフランス料理店に勤務したのちに京都市内のホテルで菓子製造の専属部署に配置されパティシエとなりました。

パティシエとしてホテル内でレストラン用のデザートの用意からウェディングケーキの製造なども経験する中、いよいよ独立開業の意思が強くなってきました。そこで、開業前に肌で一度フランスを体感しようと3泊5日の孤独な食べ歩きツアーを決行しました。

短い時間でしたが、朝・昼・夜・おやつもフランスの食を堪能してきました。3つ星レストラン、新進気鋭のネオビストロで食事をし、ジェラール・ミュロ、アルノー・ラエル、ジル・マルシャル、クリスチャン・コンスタンなど有名店のケーキを食べ歩きました。

ところが、ガイドブックに載っているパティスリーをめぐってもめぐっても期待にあう作品には出会えませんでした。ヨーロッパ伝統の菓子コンクール入賞作品でもです。

それもそのはず、今や日本にいてもタイムレスでフランスの製菓材料が手に入ります。そして作るのは本場で修業したシェフたちだから、わざわざフランスに来なくたって同じレベルのものが日本で食べることができたのです。いえ、手先が器用な分日本のパティシエのほうがレベルが高かったかも…。

そんな残念な思いを持ちつつ、リュクサンブール公園ちかくのガイドブックにも載っていないパン屋さんに朝食を買いに入りました。フランスではタルトやガトー・ショコラのような焼き菓子はパン屋さんでも販売されています。

そこで私はとてもシンプルなリンゴのタルトを購入しました。名もないパン屋さんのスイーツです。全く期待などしていなかったというのに！これまで食べてきたどのスイーツよりおいしい。

バターが違うのか、粉が違うのか、はたまたリンゴ自体が？シンプルだからこそ伝わる素材の良さ。仕事の丁寧さ。これこそが私が皆さんに味わってもらいたものだと気付き・確信した瞬間でした。

この時からプチ・ラパンは『タルト専門店』となる運命が決まったのです。皆さんにその美味しさ、ちゃんと伝えられているでしょうか？

プチ・ラパンのスタッフは私たち夫婦二人きりです。たまに子供たちに手伝ってもらうこともありますが。

素材の選定とレシピ作成、商品の製造から、梱包・発送作業まで、このオンラインショップ自体の作成も私たちだけで取り組んでいます。

目の行き届く範囲のことしかできませんので、お問い合わせの返事や発送までに時間がかかったりと皆さんにご迷惑をかけることも多いと思います。しかし、逆に目の行き届く範囲だからこそ、商品の品質に自信がありますし皆さんお声もダイレクトに私たちに届きます。

このオンラインショップまだうまれたばかり。皆さんと一緒にこのショップを育てていきたいと考えています。

などなど